【2025年最新】Tenstorrent(テンストレント)とは|RISC-V×AIチップで台頭する超マイナー有望株(未上場)
Tenstorrent は、伝説的CPU設計者 Jim Keller 氏が率いる新興メーカー。
特徴は RISC-V CPU IP のライセンス と AIアクセラレータ(Wormholeなど) の両輪、そしてオープンな開発環境です。
LGや日本のLSTCと提携、Hyundai/Samsung からの戦略出資、2025年はアナログ設計のBlue Cheetah買収で話題に。
日本語情報が極端に少ない“超ニッチ”ながら、AIインフラの周辺で存在感を高めています。
狙い目キーワード:Tenstorrent とはRISC-V CPU IPWormhole ボードAI アクセラレータ未上場 AI半導体
目次
Tenstorrentの基礎知識(超要点)
社名 | Tenstorrent Inc. |
---|---|
トップ | CEO:Jim Keller(2023年就任、AMD/Apple/Tesla/IntelなどでCPU/GPU設計を主導) |
事業 | ①AIアクセラレータ(アドインボード/サーバ) ②RISC-V CPU/AI IPライセンス |
特徴 | フルオープンなソフトウェア/ドキュメント、メッシュ接続で拡張できる独自アーキテクチャ |
資本 | Hyundai/Kia、Samsung Catalyst Fund等からの戦略出資($100Mラウンド) |
最近のM&A | 2025年:Blue Cheetah Analog Designを買収(アナログ/チップレット周辺の内製化) |
“GPU一辺倒”ではない選択肢の多様化が進む中、RISC-V×AIのハイブリッド戦略は注目に値します。
製品・技術:Wormholeボードと開発環境
Wormhole™ n150d(開発者向けアドインボード)
- 税込$1,099の価格帯で提供(アクティブクーラー付2.5スロット)
- 単体でも、マルチチップ・メッシュで拡張してワークステーション~サーバ構成が可能
- オープンソースのソフトウェアスタックを提供し「金属(HW)まで」アクセスできる開発体験
GPUの“ブラックボックス化”が進む中、学習用・研究用に向く開放的な環境は希少です。
Wormhole n150系 主要スペック早見表
項目 | 仕様(n150/n300共通コア) | ポイント |
---|---|---|
コア(Tensix) | 80コア | 多数の小コアで並列実行に最適化 |
オンチップSRAM | 120MB(1.5MB×80) | メモリアクセス遅延のボトルネック低減 |
メモリ | 12GB GDDR6 / 192bit | 推論~小中規模学習に適した帯域 |
TDP目安 | ~160W(n150d) | 一般的なワークステーションでも扱いやすい |
価格感 | 約$1,099(n150d) | 個人/研究室でも手が届く価格帯 |
n150/n300はSKU差があるため、用途や拡張構成(複数枚メッシュ)に応じて選定。
ビジネスモデル(AIチップ+RISC-V IPのハイブリッド)
- ハードウェア直販:Wormholeボード、メッシュ接続サーバ(Galaxy等)。オープンなSDKで学術・企業の開発母数を増やす。
- IPライセンス:RISC-V CPUやAI向けIPをライセンス提供。顧客が自社要件でカスタムSoC化しやすい。
- 共同設計:顧客の用途に合わせたアーキテクチャ共創(日本のLSTC案件など)。
ハード販売だけでなくIP/共同設計で収益を多層化。未上場ベンチャーとしては堅実な組み立てです。
最新動向(2024–2025)と提携・資本関係
時期 | トピック | 要点 |
---|---|---|
2023年8月 | Hyundai/Samsung Catalyst Fund主導で$100M資金調達 | 自動車・エレクトロニクス大手との戦略関係を強化 |
2023年 | Jim Keller氏がCEOに | アーキテクト主導でRISC-VとAIの二正面を推進 |
2024年2月 | 日本のLSTCがRISC-V/チップレットの共同開発パートナーに選定 | 日本の人材育成・先端設計での連携が加速 |
2024年11月 | LG Electronicsと提携拡大 | 自社製品向けのオンデバイスAI/将来モビリティまで協業範囲を拡張 |
2025年7月 | Blue Cheetah Analog Designを買収 | チップレット/アナログ混載の内製化を強化、設計垂直統合を推進 |
アジア大手との資本・事業提携が濃く、自動車・家電・日本の先端設計まで裾野が広いのが特徴。
どこが強い?—競合比較とポジショニング
領域 | Tenstorrent | 競合例 | 差別化ポイント |
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AIアクセラレータ | Wormhole(並列・メッシュ、オープンSDK) | NVIDIA(GPU)、Groq(LPU)等 | “開放的”開発体験と価格帯。研究・PoCに向く。 |
RISC-V CPU/IP | RISC-VベースのCPU/AI IPをライセンス | SiFive、Andes、ARM(対抗) | AIアクセラと組み合わせた“ヘテロ”提案力 |
共同設計 | LSTC/日本、LG など | 大手半導体、OSAT、設計ハウス | トップ主導のスピード×顧客別カスタム対応 |
GPU王者に真っ向勝負ではなく、“開放性+協業”で周辺から攻めるのが現実解。
投資家チェックリスト(未上場ゆえの着眼点)
観点 | 見るべき指標 | 示唆 |
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商用採用 | Wormholeの量産採用数、メッシュ構成の実績 | PoCから本番移行のトラッキングが重要 |
IP収益 | RISC-V/AI IPのライセンス件数・ロイヤリティ増加 | ハード不況でも底堅さを出せるかの試金石 |
提携の深度 | LG/Hyundai/日本LSTCでの量産/教育・共同設計の進捗 | “実需”へ繋がるかを確認 |
製品更新 | n300以降の新SKU、ソフト堅牢化(コンパイラ/フレームワーク) | 開発体験が広がればエコシステムが太る |
資金/人材 | 調達環境、アナログ/チップレット人材の獲得 | Blue Cheetah買収のシナジーを検証 |
未上場のため決算は限定的。製品ロードマップと提携の質が最重要KPIになります。
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